簪燈

TSUBONIWA STORY 長崎坪庭物語 たたみ一畳ほどの、人を幸せにする庭

簪燈

帰り道に月を探した。今日は上弦の月が出ているはず。朝ラジオで聞いたのを急に思い出した。しかし、見渡す限り出ていない。今日は晴れていたし、雲も無い…自転車を停めて思いきり真上を見上げてみると、あった。綺麗な半月。そうか、冬の満月は高度が高い。上弦の月は満月になる途中だから、あんなに高い位置にあるのか。それにしても立春とは名ばかりで、もう一枚着て来ればよかったと後悔。何枚も衣服を重ねることから衣更着(きさらぎ)という呼び名を持つ二月、肌で感じられる春はもう少し先かもしれない。

今月の坪庭は、寒い時期でも綺麗な白花を咲かせる花簪(はなかんざし)や梅のような丸みのある赤い木瓜(ぼけ)の花、星形で小さな可愛いピンク色のサザンクロスなどが入った春の兆し見られるお庭となっております。特に花簪は、春からが見頃でふんわりした白い小花を次々と咲かせています。花簪は見た目では分かりにくいですが、手触りが紙のようにカサカサした不思議な質感をしています。触ってみると、生花なのにまるでドライフラワーのようです。その小さなお花が寒風にふわふわ揺れている姿から「冬の妖精」とも呼ばれています。ちなみに、花簪という名前は蕾の頃の姿から名付けられ、白く丸い蕾の先端が紅色に染まっている様子が、かんざしのように見えたからとされています。

この他、店外にまだ蕾の多い紅梅色の枝垂れ梅(しだれうめ)や無垢で可憐な白梅も入り、そこはかとなく春の気配が漂います。枝垂れ梅の蕾は花色よりも濃い紅色、白梅の蕾もほんのり桃色に色づき、これからほころび始めるのが待ち遠しいです。この季節本来なら長崎では、中国の旧正月を祝うランタンフェスティバルが開催されているのですが、コロナの影響でイベントは中止され今年はランタンだけが飾られています。来年はランタンの灯りが燈るだけでなく、今年開催されなかった分まで賑わいも戻ってくるようにと願っています。

花簪の花言葉「思いやり」「温順」「変わらぬ思い」
サザンクロスの花言葉「願いを叶えて」「まだ見ぬ君へ」
木瓜の花言葉「先駆者」「指導者」「早熟」