梅雨晴

TSUBONIWA STORY 長崎坪庭物語 たたみ一畳ほどの、人を幸せにする庭

梅雨晴

今にも降り出しそうな曇り空を気にしながら、とりあえず外に洗濯物を干してみる。まだ大丈夫、と思って窓際で読みかけの本に目を落とす。ふと顔を上げると…いつから降っていたのか?すぐに気付ける、と思ったのに降り出しの雨に気付けなかったことが悔しい。水不足になるのは困るけれど、洗濯物が乾かないのも悩ましい。天候が変わりやすく、予測しにくい天気だから農家の方はもっと大変だろうと思う。二十四節気では「芒種(ぼうしゅ)」と言われる時期。稲や麦など芒(のぎ)のある作物の田植えや種まきの季節。梅雨の晴れ間が待ち遠しい。

今月の坪庭は、湿度の高いジメジメした空気に清涼感を与えてくれる爽やかなお庭となっております。店内外に入っている紫色のお花はクレマチスです。語源はギリシャ語のクレマklema=(つる、巻き上げ)が転じて学名になる際、Clematis(蔓性植物)となったようです。細いつるに似合わず大きな花を咲かせる涼し気な紫色が雨にも映えます。ヨーロッパ原産だと思われそうですが、日本にも自生するクレマチスの原種が20種ほどあります。その内の一つが海外へ伝わり、品種改良によって多彩な花色や大輪の八重咲きなどが生まれたと言われています。それを海外へ持ち込んだ一人が、ドイツ人医師であり博物学者シーボルトです。アジサイだけでなくクレマチスも持ち帰っていたとは…長崎人でもあまり知られていないかもしれません。

トレニアはピンクや薄紫色の可愛い小花をたくさん咲かせていますが、スミレにも似た花姿なので和名は夏菫とも呼ばれます。トレニアのめしべは先端が二つに分かれていて、何かが触れるとすぐに閉じる性質を持っています。これは昆虫が運んでくれた花粉を逃さないため。おしべも形が変わっていて、両手を合わせて拝んでいるように見えます。雨にも負けず綺麗に咲いている花を見ているとこちらも元気をもらえそうです。体調を崩しやすい梅雨時期は、花に負けないように健やかに過ごしたいものです。

クレマチスの花言葉「精神の美」「旅人の喜び」「策略」
トレニアの花言葉「あなたを思ってやまない」「ひらめき」「愛嬌」