紅梅

TSUBONIWA STORY 長崎坪庭物語 たたみ一畳ほどの、人を幸せにする庭

紅梅

二十四節気の立春を過ぎ、陽ざしの中に小さな春を見つけられそうな晴れた日の朝。

勢いよく窓を開けると、思っていたより冷たい北風。わずかに残っていた眠気も一気に吹き飛びました。立春をさらに細やかな季候に分ける七十二候に、東風解凍(はるかぜこおりをとく)という言葉があります。東風は風の吹く方向ではなく、春の風の総称です。七十二候では、東風と書いて「はるかぜ」と読んでいますが、一般的な読み方は「こち」です。

今月の坪庭は、紅梅色が美しい梅の花が店内外に入っております。梅の別名は、春告草(はるつげくさ)。まだ少し肌寒い時期に春の訪れを一番に教えてくれる花。店内には優美に垂れ下がるしだれ梅が、とても上品で艶やかな雰囲気。そんな梅の花には甘酸っぱい香りがあり、ほのかな梅の香りを運ぶ風を梅東風(うめごち)といいます。この言葉で思い出される和歌が一つ。「東風(こち)吹かばにほひおこせよ梅の花 主(あるじ)なしとて春を忘るな」平安時代の初期くらいまでは、花見と言えば梅。今も昔も、梅の開花を待ち遠しく思う気持ちは変わりません。

また、見た目がパンジーと似ている白いお花はビオラです。どちらもスミレ科スミレ属なので学術的には同じですが、園芸界では花びらの大きさが5cm以下のものをビオラと呼んでいるようです。店内外には可愛らしい白いビオラが咲いており、花付きが良いので次々と開花します。そして、まだ蕾が多く残る沈丁花。花びらの外側が赤色で、内側が白色をしています。花が咲くと手鞠のようにまとまった花姿を見せてくれます。さわやかな甘い香りを放ち、キンモクセイ、クチナシと共に三大香木の一つとして古くから親しまれています。

今年は長崎ランタンフェスティバルが中止になり、浜町アーケード内も幻想的なランタンの灯りが無くて寂しいです。坪庭には、気分だけでも味わって頂ければと全てのお庭にランタンを飾っています。早春はまだ寒く、寒暖差もあり風も冷たいですが、梅の蕾が一輪咲くごとに春の訪れを実感できてワクワクします。冬の後には春が来る…そんな当たり前にめぐる季節も、当たり前ではない生活の中だと、季節を感じられるって改めて幸せです。

 

ウメの花言葉「優美」「高貴」「高潔」「忠実」「忍耐」
ビオラの花言葉「物思い」「少女の恋」「私の事を思ってください」
ジンチョウゲの花言葉「栄光」「不死」「不滅」「永遠」