紅雪

TSUBONIWA STORY 長崎坪庭物語 たたみ一畳ほどの、人を幸せにする庭

紅雪

202012店内右側

カーテンを開けると、薄墨色の空が余計に寒さを感じさせる早朝。
冬はつとめて…とは枕草子にもあるけれど、空気が冷たいとやはり布団から離れがたい。
暦の上では、立冬から冬が始まり12月21日の冬至は冬の真ん中に当たりますが、実際には冬至からが冬本番。冬至冬中冬始め(とうじふゆなかふゆはじめ)、まだまだこれから寒くなりそうです。

店外左側

今月の坪庭は、クリスマスをイメージした赤や白のシクラメンが入っており、ピンク色のシクラメンと常緑樹でありながら冬に紅葉する縁起の良いオタフクナンテンも華やかさがあります。

シクラメンの花びらはビロード生地のように艶やか。ゆらゆら燃える炎がそのまま固まったみたいな花姿。地面に広がったハート型の葉も、大理石のようなまだら模様が入っていて可愛らしい。

シクラメンの花をぜひ下から覗いて見て下さい。花は完全に下を向いているのに、上向きの花を装っているのが何とも不思議です。

シクラメンの和名「篝火花(かがりびばな)」は、大正三美人の一人、歌人の九条武子さんがシクラメンを見た時に「篝火のようですね」と言ったのを聞いた植物学者が、良い見立てだと気に入って名付けたと言われています。この九条武子さんは高貴な家柄に生まれ、華族の九条家に嫁ぎ、歌人としても活躍する一方、関東大震災の震災孤児救済の慈善事業などに尽力した慈愛の人でした。しかし、扁桃腺炎を患いながら復興事業に奔走した為、敗血症まで発症し40代の若さで亡くなっています。「燃えつきし 焔の形 シクラメン」九条武子さんの姿と重なります。

今年は、これまでの習慣や価値観を変えて生活していかなければならない一年でした。
世界中で先の見えない不安を抱えて過ごす日々。いつまで続くのか分からない新しい生活様式。

当たり前に出来ていた事ができなくなる日常は正直つらいですが、だからこそ、些細な出来事に幸せを感じられる瞬間もあったように思います。一人一人の意識と努力の積み重ねで、新しい年は一歩ずつでも世界が明るい方向へ前進していきますように…。

 

シクラメン(赤)の花言葉「嫉妬」
シクラメン(白)の花言葉「清純」
シクラメン(ピンク)の花言葉「憧れ」「はにかみ」